チーム立ち上げ期 まずやるべきは人材採用よりルール作り
創業初期のチーム運営はどうすべき?地水師の初六「師出以律、否臧凶(しすいしのしょこう「ししゅついてりつ、ひぞうきょう」)」が示すのは、立ち上げ期は人数や規模よりも規律を先に固めることが最重要だということ。規律が緩いチームは人数が多いほどトラブルが生まれやすい。本稿は易経の卦象の視点から、創業初期の規律構築・管理の境界・リスク管理を解きほぐす。
起業初期に最も陥りがちな失敗は何だろう?
資金が足りないことでも、方向性が間違っていることでもない——それは「人は集まったのに、ルールがない」ことだ。
3、5人の小さなチームでは、みんな友達同士、兄弟同然だ。困ったことがあれば一緒に乗り越え、酒も一緒に飲む。ルールを持ち出すのは人間関係に傷がつく、自分たちにそんな堅苦しいことは必要ない、と思うものだ。
だが結果はどうだろう?
プロジェクトに問題が起きても、誰も責任を認めようとせず、顔を見合わせてばかり——「それは私の仕事じゃないよね?」と。
遅刻や早退する人がいても、友達だから言い出しにくい。
ボーナスを支給するときはさらに面倒だ。働いても働かなくても同じ扱いでは、真面目に働いた人は不満を抱き、サボっていた人は当然だと思い込む。
チームは外敵に敗れるのではなく、内部の混乱から先に崩れてしまう。
もしあなたもこうした経験があるか、今チームが立ち上げ期にあるなら、ぜひ**師卦初六**に目を通してほしい。
師卦初六:出兵の前に、まず軍法を定める
師卦の初爻の爻辞は実にシンプルだ:**師出以律,否臧凶。**
どういう意味だろう?
「師出」——軍が出征する、チームが動き出す、ということ。
「以律」——規律やルール、法度で縛る、ということ。
「否臧凶」——「否臧」はよくない、厳しくない、という意味だ。規律が緩くルールが曖昧なら、結果は凶となる。
たった六文字で、チーム管理の核心的な道理が言い尽くされている。
師卦とはどんな卦だろう?地の中に水がある姿で、軍隊を象徴する卦だ。戦いで何が頼りになる?人数の多さか?古代には少数で多数を打ち負かした戦いは数え切れないほどある。武器の良さか?それも必ずしもそうではない。頼りになるのは——規律だ。
規律が厳正な隊なら、千人で一万人分の勢いを発揮できる。規律のない隊なら、十万人いてもただの散兵遊勇に過ぎず、一撃で崩れてしまう。
『象伝』にはこうある:「師出以律,失律凶也。」——規律を失えば凶となる。これ以外の結果はない。
多くの起業家は最初から「ファミリー文化」だのフラットな組織だのを掲げ、みんな兄弟同然だから堅苦しいルールは必要ない、と考えがちだ。
ウェン老師はよく「兄弟は兄弟、ルールはルール」と言う。ルールすらないのに、問題が起きてからでは、兄弟関係も成り立たなくなる。
なぜ小さなチームほどルールが必要なのか
先日、ある友人が愚痴をこぼしに来た。
彼は起業して二年、チームは自分一人から十数人に増えた。普通なら順調になるはずだろう?そうではなく、むしろますます疲れるようになったという。
彼は毎日一番早く出社し、一番遅く帰る。何から何まで気にかけなければならない。一方、従業員は定時になれば帰り、一分たりとも残ろうとしない。仕事を頼んでも、何度も催促しないと提出しない。提出されたものも、品質はひどいものだった。
彼は「俺は彼らに悪くしていないつもりだ。給料も安くないし、福利厚生だって充実している。なんで俺みたいに本気になってくれないんだ」と言っていた。
私は彼に「明確な職務責任は定めてあるの?」と聞いた。
彼は「小さなチームだから、臨機応変に対応しているよ。手が空いている人がやる、って」と答えた。
私はまた「明確な評価基準はあるの?」と聞いた。
彼は「みんな一緒に頑張ってきた仲だから、評価なんて堅苦しいことはしなくても」と言った。
私は「じゃあ疲れるのも当然だろう」と言った。
これこそ師卦初六の言う「否臧凶」だ——規律が緩くルールが曖昧なら、チームが大きくなるほど、あなたの負担は重くなる。
なぜ小さなチームほどルールが必要なのだろう?
大きなチームには制度もプロセスも人事も部門の壁もあるから、多少の混乱は大したことにならない。小さなチームにはそれらがなく、すべてが人治に依存する。一人で何人まで見張れるだろう?3、5人ならまだしも、十数人なら?数十人なら?
しかも小さなチームには特徴がある——**腐ったリンゴ一個で、箱全体がダメになる**。
大企業ならサボる人が一人や二人いても影響は小さく、周りの人は仕事を続ける。だが小さなチームでは、たった一人のサボり屋や無責任な人がいるだけで、チーム全体のペースが乱れてしまう。人数が少ない分、一人ひとりの影響力が大きいからだ。
だから小さなチームほど、ルールを前もって定めておく必要がある。人を信じていないからではなく、人を守るためだ——真面目に働いている人を守り、彼らが不公平だと感じないようにするためだ。
ルールを定める三つの基本原則
ルールはどう定めればいい?師卦初六は「師出以律」の四字しか語っていない。だがどう「律」するのか?
ここに最も実践的な三つのポイントを挙げよう。
**第一条:先に厳しく言ってから、仲良くやる。**
多くの人は逆にしがちだ——最初は仲良くやって、後から厳しくする。最初は和気あいあいで何でも言い合えるが、問題が起きてから過去のことを蒸し返しても、もう手遅れだ。
正しいやり方は、チームを組んだ初日に、嫌なことは先に言っておくことだ。何ができて何ができないか、上手くいったらどう褒め、失敗したらどう罰するか、誰が何を管轄し、誰が決定権を持つか——すべてをはっきり言葉にし、書き留めておく。
こんなやり方は堅苦しくて人間味がない、と思うかもしれない。だが考えてみてほしい。最初に少し堅苦しいくらいがいいのか、それとも問題が起きて仲違いしてから口論するほうがいいのか。
先に厳しく言ってから仲良くやれば、最後にはみんな君子になれる。先に仲良くやってから厳しくすれば、最後には友達関係すら成り立たなくなる。
**第二条:ルールは少ないほど効果がある。**
最初から何十条もの規則制度を作り、本のように分厚くしても、誰も最後まで読んでくれない。
小さなチームのルールは、3、5条で十分だ。例えば:顧客からリベートを受け取らない、社内の機密を漏らさない、納期を守って遅延させない、問題が起きたら責任転嫁しない——これだけでいい。シンプルで明確なら、誰もが覚えられる。
ルールの鍵は数にあるのではなく、実行できるかどうかにある。百条定めても一条も実行しなければゼロに等しい。三条定めてすべてを守り通せば、百条よりも効果がある。
師卦初六の言う「律」とは、山ほどのルールではなく、絶対に守らなければならない数少ない底线のことだ。
**第三条:リーダー自身が先に守る。**
ルールは従業員のために定めるのではなく、全員のために定めるものだ。一番ルールを守るべきなのは、あなた自身だ。
従業員に遅刻するなと言いながら、自分は毎日十時に出社する。従業員にサボるなと言いながら、自分は勤務中にショート動画を見る。従業員にルールを守れと言いながら、自分は思いつきで決定を変える。
そんなルールは、ただの笑い話だ。
古代の軍隊では「率先垂範」が重んじられた。将軍が兵士と同じ食事をし、同じ服を着てこそ、兵士は進んで命を懸けてくれる。今のチーム管理も同じ道理だ——自分が実行してこそ、言葉に重みが生まれる。自分ができていないなら、どれだけ言っても無駄だ。
師卦が「律」で始まるのはなぜか?律がなければ、師(チーム)は成り立たないからだ。ルールのないチームはチームとは呼べず、ただのグループに過ぎない。
いつ緩め、いつ厳しくするか
もちろん、ルールは死んだものではない。
師卦初六は初爻であり、「師出」——つまり立ち上げ期のことだ。立ち上げ期は厳しく、基礎をしっかり固める必要がある。だがチームが成熟し、みんなが習慣を身につければ、適度に緩めてもいい。
車の運転の習得と同じだ。最初はコーチが一つひとつの動作を見張っている——ウィンカーを出す、クラッチを踏む、ギアをチェンジする——一つたりとも間違えられない。運転に慣れてくれば、これらの動作は無意識のうちにできるようになり、考えなくても間違えることはなくなる。
チーム管理も同じだ。
立ち上げ期はルールを厳しく細かく定め、一人ひとりに境界線を理解させる。みんなが共通認識を持ち、習慣が身につけば、ルールは表に見えるものから見えないものへと変わり、「守らされる」から「自ら守る」へと変わっていく。
一番怖いのは、順番を逆にすることだ。
立ち上げ期にだらしなく、自由気ままに過ごしていると、みんなその習慣が染みついてしまう。チームが大きくなり問題が増えてから厳しくしようと思っても、もう難しい。人の習慣は一度身につくと、変えるのが何より大変だ。その頃になってルールを定めても、誰もが「余計なことを」と思うだろう。
だから師卦初六が初爻に置かれているのには、理由がないわけではない——**ルールは早く定めれば定めるほどいい**。
最後にひとこと
起業というものは、最終的にはアイデアの多さや運の良さを競うのではなく、どちらのチームが安定しているか、どちらの組織が戦闘力を持っているかを競うものだ。
規律のある隊なら、負けてもまた組織を立て直し、次に挑める。規律のない隊なら、一度負ければバラバラになり、二度と集まることはできない。
師卦初六の「師出以律,否臧凶」は、冷酷無情な管理者になれと言っているのではない。チームに本当に責任を持つやり方は、みんなと仲良くして好好爺になることではなく、ルールを定めて一人ひとりが何をすべきか何をしてはいけないかを理解させることだ、と教えてくれている。
ルールがあってこそ、みんなが力を注ぐべき方向がわかる。ルールがあってこそ、真面目に働く人に希望が持てる。ルールがあってこそ、チームは「ただの集まり」から「一つの隊」になれる。
ルールを定めたとき、あなたのチームは本当のスタートを切るのだ。