お金を稼ぎたいけど失敗するのが怖い?古人が正しい決断の仕方を教えてくれる
要約:沢天夬(たくてんかい)の卦を用いて財運における意思決定のロジックを紐解き、着実に穴埋めをし、チャンスを掴む方法を伝授する。
古代、小さな商売を営む番頭がいた。同業者がこぞって新しい店を出すのを見て、心が猫に掻かれたように落ち着かず、わざわざ占い師に易を占ってもらった。出た卦は沢天夬(たくてんかい)で、変卦は沢風大過(たくふうたいか)だった。占い師は卦象を見て笑った。「あんたの素地は本当にいいが、ただ焦りすぎている」と。
まずこの卦の形を見てほしい。下に陽爻が五つしっかりと積み重なり、上に陰爻が一つ浮かんでいる。まるで銀でいっぱいの壺で、壺の口に小さな欠けがあるようなものだ。「貧しい」と言えば中にはちゃんと中身があるし、「安定している」と言えば少し気を抜くとお金がこぼれ出てしまう。今の言葉で言えば、典型的な「素地は安定しているが小さな漏れがあり、突破の余地がある」状態で、何もしなくても勝てるほどではないし、食べていくのに困るほどでもない、ということだ。
多くの人はこうした「どっちつかず」の局面に出会うと慌ててしまいがちだ。新規事業に慌てて全額を突っ込んだり、何もせずに寝そべったりするが、それはまさに意思決定の要領を心得ていない証拠だ。『周易』では夬卦について「王庭に揚がり、孚(まこと)に号して厲(あや)うしあり」と説かれている。平たく言えば、問題ははっきりとそこにあるのだから、見て見ぬふりをせず、自ら処理するのが一番だ、ということだ。判断力を高める方法を考えるとき、最初の一歩は外にチャンスを探すことではなく、まず内側の穴を塞ぐことなのだ。
番頭は最初は納得せず、「倉庫には品物がたくさんあるし、帳簿にもお金が十分にある。どこに穴があるのか?」と言った。占い師は指を折って数え始めた。「先月勢いで仕入れた、売れ残りの絹織物はどうだ? 常連客ときちんと結んでいない供給契約は? それから、お宅のだらしない奥さんが毎月むやみに契約している口紅やおしろいの会員権は?」。番頭は聞いて顔を真っ赤にした——こうした取るに足らない小事こそが、卦の一番上に浮かんでいる陰爻だったのだ。
見ての通り、多くの人は困難に遭うとどうするだろう? 大きな手を打って一発逆転しようと考えがちだが、本当の転機は細部に隠れている。夬卦の初爻にはっきりと書かれている。「前趾(あしゆび)に壮(さかん)なり、往(ゆ)いて勝たざれば咎(とが)となる」。足の指は力強いが、足を上げてすぐに走ろうとして、一歩目を踏み外せば転ぶのはあなただ。金運に当てはめれば、慌てて新しいことに手を出すのではなく、まず手元の散らかった事態を片付けろ、ということだ。回収すべき売掛金は回収し、処分すべき在庫は処分し、補填すべき契約はきちんと整える。こうした小事がすべて整理できれば、チャンスを見る目もぐっと澄んでくるだろう。
この卦の妙味はさらに先にある。中間の互卦(ごけ)は乾卦が二つ重なっている。これは本当に事を成そうと思えば、周りに助けてくれる人がいるということだ——目上の人の経験、友人のリソース、以前に蓄えた元手、これらはすべてあなたの自信の源になる。多くの人は意思決定の際に一人で黙って頑張りがちだが、口を開いて教えを請うのも立派な才能なのだ。業界で十何年も渡り歩いてきたベテランに酒をおごって話を聞けば、相手の一言で指摘される落とし穴が、自分で三年間踏み続ける失敗よりも役に立つこともある。
最後に変わって出る大過卦は、さらに面白い。予想以上に儲かるか、予想以上にお金を使うかのどちらかで、すべてはあなたの選び方次第だ。爻辞の忠告を聞いて、まず穴を塞いでから着実に進めば、上に向かって突破し、金が木を剋(こく)してお金があなたの懐に入ってくる。だが、頭に血が上って他人につられてむやみに投資し、レバレッジをかけて賭けに出れば、下に向かって崩れ、穴はどんどん大きくなってしまう。
突き詰めれば、古人のこうした占いの方法は、最初から答えを決めつけるものでは決してなく、今の状況をありのままに広げて見るための助けになるものだ。手元に良い札を持っているのは怖いことではない。怖いのは、札に小さな穴があるのを見て見ぬふりをして、慌てて他人に賭け金を上乗せすることだ。まず穴を塞いでから、ゆっくりと札を打っていけば、勝率は自然と高まるものだ。