噬嗑卦初九:人と小さな揉め事、決裂すべき?「屦校灭趾」——小さな懲らしめが大きな戒めになるのが達者

火雷噬嗑の初九は「屦校灭趾、无咎(足に刑具を着けて足指を隠し、咎なし)」と記す。小さな罰や摩擦も早めに食い止めれば大きな災いにはならないという意味だ。人間関係の小さな矛盾も、早めに線引きして小さな戒めで済ませる方が、後で大爆発するよりずっと良い。本稿は人間関係の紛争の視点から、火雷噬嗑初九の叡智を読み解く。

📅 1970年1月1日✍ 闻老师👁 11

こんな経験、あなたにもありませんか——


友達、同僚、あるいはパートナーと接していて、相手がちょっと嫌な気分になるような小さなことをする。心の中ではモヤモヤするけど、「まあいいか、大したことないし、言ったら私が器小さいと思われる」と思って。


そして飲み込んで、何もなかったふりをする。


結果はどうなる?相手はまた二度、三度と同じことをする。あなたの心のしこりはどんどん大きくなり、ついにある日、本当に些細なことで完全に爆発してしまう。相手はぽかんとして——「こんなことで、そんなに怒ることある?」なんて言うんだから。


あると思う?ないと思う?


実は最初から言うべきだったんだ。小さな問題を解決しないで溜め込むと、最後は大爆発になる。


火雷噬嗑の初九が、まさにこのことを教えてくれている。爻辞には「屦校灭趾,无咎」と書かれている。


なんだか怖そうに聞こえるけど、つまりはこういうこと——小さな罰で大きな戒めとし、早めに損を食い止める、ということだ。


「屦校灭趾」とはどういう意味?


屦校とは、足にはめる刑具のこと。灭趾とは、つま先を隠す、という意味だ。


どういうことかというと、小さな過ちを犯した人に足に刑具をはめさせ、歩けなくしたり、歩きにくくしたりする。罰は大きくないけれど、十分に覚えさせることができる、ということだ。


なぜ足だけを罰するのか?足は一番下にあって、物事が始まる場所だからだ。小さな過ちが生まれたばかり、問題が顔を出したばかりの、一番最初の段階で食い止める。上に広げない、大きくしない。


だから「无咎(咎なし)」——大きな災いはない、というわけだ。早めに食い止めたから、大きな事態にはならない。


逆に考えてみよう。小さな過ちを放っておいたり、小さな摩擦を放置したりしたら、どうなるだろう?


どんどん大きくなる。小さなつま先の問題が、足全体の問題になり、最後は全身の問題になる。そうなってから治そうとしても、もう手遅れだ。


ウェン老師はよく「多くの人間関係は大きな事で壊れるのではなく、言い出せなかった小さなことの積み重ねで壊れるんだ」と言っている。溜め込んでいるうちに、爆弾になってしまう。


どうして人は「ちょっと我慢しよう」と思ってしまうのか


明らかに嫌なのに、どうして言わないんだろう?


理由は大きく三つある。


一つ目は、関係が傷つくのが怖いから。言ったら相手が不機嫌になったり怒ったりして、関係に響くと思っている。だから我慢することを選び、それが関係を守ることだと思い込んでいる。


実は正反対なんだ。あなたが我慢しても、相手はあなたが気にしていると知らないから、また次も同じことをする。あなたの心の不満は溜まる一方なのに、表情はどんどん作り笑いになっていく。最後に爆発した時こそ、本当に関係が傷つくんだ。


二つ目は、自分が器小さいと思われるのが嫌だから。「大したことないのに、そんなに細かいこと気にする私って狭量かな?言ったら心が狭いと思われる」と感じてしまう。


はっきり言って、器小さいなんてことは全然ない。境界線って、自分で引かなきゃ、誰かがどんどん踏み越えてくるものだ。今日小さなことを我慢したら、明日はもっと大きなことが待っている。


三つ目は、衝突が怖いから。生まれつき喧嘩したり、揉め事になったり、人と険悪な雰囲気になったりするのが苦手な人は多い。逃げられるなら逃げる、我慢できるなら我慢する、という感じだ。


でも衝突って、逃げてもなくならないんだ。逃げれば逃げるほど、大きくなる。早く起きた方が遅く起きるよりいいし、小さな衝突の方が大爆発よりずっといい。


「小さな罰で大きな戒め」を実践するには?三つの原則


言うこと自体が目的じゃなく、問題を解決することが目的だ。どう言えば、境界線を引きつつ、関係をこじらせずに済むだろう?


一つ目の原則:「事柄に対して言い、人に対して言わない」


相手が何をして嫌だったのか、その事柄だけを伝えて、人格攻撃にまで持ち込まないこと。例えば相手がいつも遅刻するなら、「あなたってどうしてそんなに時間守れないの?」なんて言わないで、「三回連続で遅刻したね、次はちょっと時間守ってくれると嬉しいな、待ってるとちょっと焦るから」と言う。


事柄だけを話して、人そのものを否定しない。相手も受け入れやすいし、「自分の全部を否定されてる」と感じなくて済む。


二つ目の原則:「遅く言うより早く言う方がいい」


初めて起きた時に言うこと。三度、五度と経ってから言わない。初回に言えば、相手は「注意してくれてるんだな」と思う。十回目になってから言ったら、相手は「どうして今まで言わなかったの?今更そんなことを持ち出すなんて、前から私のこと嫌いだったの?」と思ってしまう。


小さな火の粉が出たばかりの時に消すのが一番楽なんだ。大きな火になってから消そうとしたら、代償が大きくなる。


三つ目の原則:「ほどほどに、理にかなっているからといって相手を追い詰めない」


「屦校灭趾」は足に刑具をはめるだけで、足を切ったり首をはねたりするわけじゃない。罰の目的は注意を促すことであって、仕返しすることじゃない。


伝えたいことが伝わって、相手も受け止めてくれたら、それで十分だ。いつまでもしつこく引きずったり、過去のことを蒸し返したり、理にかなっているからといって相手を追い詰めたりしないこと。それはやりすぎだ。


最後に


火雷噬嗑の初九の知恵は、突き詰めれば一つのことに行き着く——小さな問題を大きなトラブルにしないこと、だ。


人間関係で一番いけないのは「溜め込む」ことだ。不満を溜め、失望を溜め、恨みを溜めて、最後に一度爆発したら、関係はバラバラになってしまう。


本当に人間関係が上手な人は、一度も喧嘩したことがない人じゃなくて、「小さな喧嘩」ができる人だ。問題があれば言い、摩擦があれば解決し、小さなことは溜め込まないから、大きなことが起きても慌てない。


「屦校灭趾」という四字を覚えておこう——一番最初の場所で食い止め、一番軽い段階で解決する。


小さな罰で大きな戒めとするのが、本当の賢さだ。

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