大畜卦六四:若者が先輩に学ぶべきことは?「童牛之牿,元吉」——失敗する前に落とし穴を避ける術を学ぶ
大畜卦の六四には「童牛之牿,元吉(子牛の角に横木をつける、元吉)」とある。子牛の角に横木をつけて人を突くのを防ぐように、過ちが起きる前に予防するのは、事後の修正よりはるかに良いというたとえだ。若者が先輩から学び、事前に落とし穴を知れば遠回りを減らせる。本稿では予防重視と経験継承の視点から、この爻の知恵を解きほぐす。
大畜卦の六四になると、話の趣が変わってきます。
下三つの爻は、自分自身がどう積み重ね、どう壁を突破するかという話でしたが、
六四になって、もっと賢い方法が語られ始めます——
事前に予防して、遠回りを減らすことです。
爻辞にはこうあります:「童牛之牿,元吉(どうぎゅうのこく、げんきち)」。
童牛とは、子牛のことです。
牿(gù)とは、牛の角に結びつける横木のことです。
なぜ牛の角に横木を結びつけるのでしょう?
子牛は角が生えたばかりで、力加減がわからず、
むやみに人に突進して、怪我をさせやすいからです。
角に横木を結びつけておけば、
突進したときに先に横木が人に当たるので、
子牛は「あ、これはいけないんだ」とわかります。
そうして徐々に、人に突進しないようになるのです。
成長して、何をしていいか何をしてはいけないかわかるようになれば、
横木はもう必要なくなります。
「元吉」とは、大吉、非常に縁起が良いという意味です。
なぜ子牛に横木を結びつけることが大吉なのでしょう?
それは——過ちが起こる前に予防するほうが、
過ちを犯してから改めるより、一万倍も優れているからです。
なぜ「予防」は「改正」よりも重要なのか?
小さい頃から私たちはこう聞かされてきました——
「過ちを改めるに如かざる善なし」。
過ちを犯しても、改めればいい、と。
でもよく考えてみてください、
過ちを犯すには代償が伴うのです。
改めれば済む過ちもあります。
でも、一度犯したら代償が大きすぎて、
背負いきれない過ちもあります。
いくつか例を挙げましょう。
健康の場合:
若い頃に体を気にせず、
夜更かし、飲酒、運動不足を続けたとします。
病気になってから改めようとして——
間に合うでしょうか?
一度かかったら治らず、
進行を抑えるしかない病気もあります。
後悔しても、もう遅いのです。
投資・資産運用の場合:
投資の知識がないまま、人に勧められてお金を出したとします。
損をして「次はやめよう」と教訓を得ても、
失ったお金は戻ってきません。
汗水流して稼いだお金が、
たった一つの教訓と引き換えに消えてしまうのです。
恋愛・結婚の場合:
良くない人と付き合って、何年もの青春を無駄にし、
深く傷ついたとします。
最終的に別れたり離婚したりして、
「大丈夫、教訓にしたから」と言っても、
あの何年かの青春は戻ってきません。
心の傷が癒えるには、長い時間がかかるかもしれません。
キャリアの場合:
業種を間違えて就職し、5、6年経ってから「これは違う」と気づいたとします。
転職するなら、すべてが一からのスタート。
転職しないなら、一生後悔が残る。
この5、6年という時間が、
過ちを犯した代償なのです。
ほら、過ちの代償がどれほど大きいかわかるでしょう。
お金で済む代償もあれば、
時間が奪われる代償もある。
一生の後悔になる代償だってあります。
だから、
過ちを犯してから改めるより、
最初から過ちを犯さないほうがいい。
転んで痛い思いをしてから起き上がるより、
最初からその穴を避けて通ればいい。
これが「童牛之牿」の知恵なのです。
事前に予防するほうが、
事後に手当てするより、
はるかに賢明なのです。
どうすれば「事前に落とし穴を避けられる」のか?
そうは言っても、
どこに落とし穴があるか、どうやって事前に知ればいいの?
私は仙人じゃないんだから、
何が正しくて何が間違っているかなんてわからない、と思うかもしれません。
3つの方法を教えましょう。
1つ目の方法:歴史を読むこと。
人類の技術は進歩していますが、
人間の性は変わっていません。
現代の人が犯す過ちは、
何千年も前の人がすでに犯してきたものばかりです。
現代の人が落ちる落とし穴も、
歴史の中で無数の人が落ちてきたものばかり。
歴史を読むということは、
他の人が犯した過ち、落ちた落とし穴を見て、
「同じ過ちは犯さないようにしよう」と自分に言い聞かせることなのです。
例えば歴史を読んで、
晩年に奸臣を寵愛して政治を怠り、最終的に国が衰退した皇帝がたくさんいるのを見れば、
「高い地位にいるときは、驕ってはいけない。反対意見に耳を貸さなくなってはいけない」とわかります。
これがまさに——
「歴史を鏡とすれば、興亡がわかる」ということです。
自分ですべての落とし穴を踏む必要はありません。
他の人がどうやって落ちたのかを見て、
避けて通ればいいだけのことです。
これが一番コストの低い学び方です。
2つ目の方法:経験者に教えを請うこと。
若い頃はつい、
目上の人の言葉は時代遅れで役に立たない、と思いがちです。
彼らのやり方は古臭くて、今の時代には合わない、と。
でもある程度の年齢になると、
目上の人が言っていたことの多くが正しかった、と気づくものです。
彼らが昔踏んだ落とし穴を、
自分も一つ残らず踏んでいることに。
なぜでしょう?
人間の性が変わっていないからです。
時代は変わっても、人の心は変わらない。
犯すべき過ちは、同じように犯してしまうのです。
もし昔、目上の人の言葉に素直に耳を傾けていたら、
どれほど遠回りを減らせたでしょう?
もちろん、たくさん減らせたはずです。
だから、
判断に迷うことがあったら、
経験者の意見を聞くようにしましょう。
特に、その分野で実績を上げている人の意見です。
彼らの経験は、時間とお金をかけて得たものです。
少し時間をかけて教えを請えば、
他人の何十年もの経験を手に入れられるのです。
こんなにお得な話はありません。
もちろん、
誰の言葉も聞けばいいというわけではありません。
本当に実力があって、本当に落とし穴を踏んだことのある人の言葉を聞くべきです。
自分自身が失敗ばかりしている人のでたらめな指示には、耳を貸さないように。
3つ目の方法:小さな過ちから学ぶこと。
誰だって過ちを犯します。
一生過ちを犯さない人なんていません。
でも賢い人は、
一度小さな過ちを犯すだけで、大きな教訓を得ます。
愚かな人は、大きな過ちを犯しても学ぼうとしません。
例えば投資で少し損をしたとき、
ちゃんと振り返るべきです——
なぜ損をしたのか?
どこの判断が間違っていたのか?
次はどうすれば避けられるのか?
しっかり振り返れば、
その少額の損失は価値のあるものになります。
今後もっと大きな落とし穴に出会ったとき、
避けて通れるようになるからです。
でも損をしても振り返りも反省もせず、
「運が悪かっただけ」と思っていたら、
次もまた損をするし、
もっと大きな損をすることになります。
小さな過ちは授業料です。
大きな過ちは災難です。
小さな過ちで経験を買うのなら、安いものです。
大きな過ちを犯してから学ぶのでは、
代償が大きすぎます。
若い人への3つの提醒
「童牛之牿」という言葉は、
特に若い人に伝えたい言葉です。
若い人はまさに「童牛」で、
角が生えたばかりで力加減がわからず、
過ちを犯しやすく、他人を傷つけやすく、自分自身も傷つきやすいからです。
若い皆さんに、3つの提醒を贈ります。
1つ目、自分だけは特別だなんて思わないこと。
多くの若い人にはこんな癖があります——
「他人の経験は他人のもの、自分は違う」。
「他人が踏んだ落とし穴を、自分が踏むはずがない」。
「他人が犯した過ちを、自分が犯すはずがない」。
そんなに自信過剰にならないでください。
あなたは自分が思うほど特別ではありません。
犯すべき過ちは、一つ残らず犯すことになります。
あなたにできるのは、
代償をできるだけ小さくすることだけです。
壁にぶつかってから後ろを向くのではなく、
他の人が壁にぶつかっているのを見て、
避けて通ればいいのです。
2つ目、急いで稼ごうとしないこと。
多くの若い人は社会に出たばかりの頃、
どうやって稼ぐか、どうやって成功するかばかり考えています。
それ自体は間違いではありません。
でも急がないでください。
今一番大切なのは、稼ぐことではなく、
スキルを磨き、視野を広げ、落とし穴を避けることです。
基礎をしっかり固めて、
避けるべき落とし穴を全部避ければ、
今後稼ぐチャンスはいくらでもあります。
今すぐ早く稼ごうと焦ると、
騙されたり、遠回りしたり、落とし穴に落ちたりしやすくなります。
そうなったら、
お金も稼げない上に借金だけが残って、
割に合わない結果になってしまいます。
若い頃は、損をしないことが稼ぐことなのです。
3つ目、良い先生を見つけること。
両親はあなたの業界のことを知らないかもしれないし、
友達はあなたと同じくらいのレベルかもしれません。
もっとすごい人に、
道案内をしてもらう必要があります。
その人は上司かもしれないし、
業界の先輩かもしれないし、
知り合いの凄い人かもしれません。
良い先生についていれば、
10年分の遠回りを減らせます。
本当ですよ。
先生の一言で、目が覚めることもあるでしょう。
先生の一つの提醒で、大きな落とし穴を避けられることもあるでしょう。
教えを請うのに恥ずかしがらないでください。
ほとんどの先輩は、若い人を指導するのを喜んでくれます。
謙虚で、学ぶ意欲があって、礼儀正しければね。
「千里の馬は常にあれど、伯楽は常にあらず」と言います。
でも自分から探しに行かなければ、
伯楽のほうからやってきてはくれません。
最後に
大畜卦六四の「童牛之牿,元吉」は、
とても賢明な言葉です。
これは教えてくれています——
最高の成長とは、何度も転んでから歩き方を覚えることではない。
他の人がどう転ぶのかを見て、
自分は安定して歩けるようになることだ、と。
最高の成功とは、無数の過ちを犯してから正しい道を見つけることではない。
どの道が通れないか事前に知って、
正しい道を選んで、
そのまま歩き続けることだ、と。
もちろん、
通るべき遠回りは、一歩たりとも減らないこともあります。
中には、自分で一度踏んでみないと覚えられない落とし穴もあるでしょう。
でも、一つでも多く避けられるなら避けたいし、
一歩でも少なく遠回りしたいものです。
浮いた時間とエネルギーを、
もっと大切なことに使いましょう。
あなたが賢い「童牛」になって、
叩かれなくても、
ちゃんと歩けるようになることを願っています。