管理者が下に目を向けるほどチームが伸びる? 臨卦六四「至臨無咎」の示唆

管理職はオフィスで指示を出すべきか、現場に足を運ぶべきか。地沢臨の六四爻は「至臨、咎なし」と説く——自ら現場に赴き、適切な立ち位置に立てば物事は順調に進む。本稿は易経の卦の視点から現場管理の本質を解きほぐし、「遠隔管理」から「至臨管理」へと変える3つのステップで、チームの戦闘力を引き出す方法を紹介する。

📅 1970年1月1日✍ 闻老师👁 10

こういう上司、見たことあるだろうか。


毎日オフィスに座って、ドアを閉めてパソコンをつけたら、一日が終わる。現場で何が起きているかは報告書で判断し、チームの問題は会議で聞き、顧客の意見は部下の報告で済ませる。


「現場の状況はどうですか?」と聞いても、「データはここにあるから、自分で見て」と返すだけ。


結果はどうなったか?データは良くなる一方なのに、問題は増えるばかり。報告書は立派になるのに、顧客は減り続ける。報告はスムーズになるのに、現場の実行はどんどんズレていく。問題が手に負えなくなって表面化しても、本人は「どうしてこうなった?データは確かに良かったのに」とぽかんとしている。


はっきり言って、この人が管理しているのはチームじゃなくてPPT。向き合っているのは本当の問題じゃなくて、三段階もフィルターにかけられた情報なんだ。


じゃあ、本当にできる管理者はどんな人だろう?


ウェン老師はこう言う。管理者が信頼できるかどうかは、たった一つのことで決まる——「下に降りて、現場へ行き、最前線に近づく意欲があるかどうか」だと。


この考え方は、易経の地沢臨の六四の爻が、とっくに説き尽くしている。


「至臨、咎なし」の四字が、現場管理の核心を言い表している


地沢臨の六四の爻辞はとてもシンプルで、たった四字——「至臨,无咎(至りて臨む、咎なし)」だ。


どういう意味だろう?「至」は到着する、自ら現場に行く、直接足を運ぶということ。「臨」は向き合う、視察する、管理するということ。「至臨」を合わせると——遠くから眺めたり、階層を介して伝言を聞いたりするんじゃなく、自ら下に降り、自ら現場に到着し、自ら最下層の状況に向き合う、という意味になる。


なぜ「咎なし」と言えるのか?それは立ち位置が正しいからだ。六四は陰爻が陰位にあり、位置が正当で、威張ったり見栄を張ったりせず、下に降りて最下層の人や物事に接することをいとわない。立ち位置が正しければ、物事に大きな過ちは生まれない。


『象伝』には「至臨無咎、位当也(至りて臨むに咎なきは、位当たるなり)」とある。


これはまさにそのことを言っている——自ら現場に行けば過ちがないのは、立ち位置が正しいからだ。上に浮かんでいるんじゃなく、下に立っている。傍らで見ているんじゃなく、中に入って動いている。立ち位置が正しければ情報も正しくなり、情報が正しければ意思決定も正しくなり、意思決定が正しければ結果も自然と正しくなる。


ウェン老師はよく「管理で一番怖いのは能力不足じゃない、立ち位置が間違っていることだ」と言う。上から下を見るのと、下から上を見るのでは、見えるものがまるで違う。オフィスで頭を悩ませていた問題も、現場に行ってみれば答えが目の前にはっきりと転がっているものだ。


なぜ「至臨」がこんなに大事なのか?情報は階層を経るごとに歪むからだ


多くの管理者は理解していない——「これだけ中間管理職や主管を雇っているのに、彼らが報告してくれないわけ?なんでわざわざ自分が行かなきゃいけないの?」と。


数えてみればわかる。一つの情報が現場からあなたの耳に届くまでに、何段階も経由する。現場社員がチームリーダーに伝え、チームリーダーが主管に伝え、主管がマネージャーに伝え、マネージャーがあなたに伝える。一人を経るごとに情報は加工される——理解のズレだったり、重い問題を避けて軽い話を選んだり、あなたを怒らせたくなくて良いことだけを伝えたりする。


四回も曲がりくねってあなたの元に届いた情報が、元のままの事実だと思えるだろう?ほぼ間違いなく、違うものになっている。


以前見たある会社では、社長が月次報告書を見て「顧客満足度98%か、上出来だ」と言っていた。ところが実際に店舗に一日張り込んでみると、三人の顧客のクレームが放置され、二人の従業員が顧客と口論になっているのを目の当たりにした。社長は帰ってすぐに怒りを爆発させた——「これがお前たちの言う98%か?」と。


なぜこんなことが起きるのか?部下がわざと嘘をついているんじゃない。人間なら誰でも持っている癖——「良い報告だけして悪い報告はしない」という癖があるからだ。特に社長の前では、誰も悪い知らせを伝える役割を引き受けたがらない。結果、上に伝わるたびに悪い知らせは減り、良い知らせは増えて、最後にあなたの元に届く頃には全部良い知らせになっている。


あなたは「状勢は絶好調だ」と思っていても、実は下では火が手に負えないほど広がっている、なんてことになる。


だから「至臨」は何の問題を解決しているのか?それは情報の歪みの問題だ。自ら下に降りて見て、自分の目で見、自分の耳で聞き、自分の手で確かめれば、情報は誰の手も経ずに、ありのままの姿で頭に入る。そうして初めて、本当の状況がどうなのか、チームが実際にどう働いているのか、顧客が本当は何を考えているのかがわかる。


それこそが本当の管理だ。報告書を管理するんじゃなく、事実を管理するんだ。


「至臨」を実践するには?形だけの行事じゃなく、本気で現場に沈み込むこと


言うのは簡単だし、実際にやったことがある人も多い——いわゆる「現場視察」「調査」というやつだ。だいたいは形式だけの挨拶回りで、写真を撮って座談会を開いたら帰る。それは「至臨」じゃない、ただのパフォーマンスだ。


本当の「至臨」には、三つの基準がある。


一つ目は、大勢を引き連れず、事前に連絡しないこと。


視察に行くのに大勢の人を引き連れて、三日前から現場の準備や台本のリハーサルが行われていたら、見えるものは全部「相手に見せたいもの」になってしまう。そんなの何の役にも立たない。嘘の現場を見るくらいなら、見ない方がマシだ。


本当に状況を知りたいなら、最小限の人数で突然現場に行く。普段通りに仕事をしているところを、ただ傍らで見ていればいい。従業員がどう顧客に対応し、どう問題を処理し、どう仕事を引き継いでいるか、全部目に焼きつける。口を出す必要も、評価する必要もない、ただ見るだけ。30分見ただけでも、三日間の報告を聞くよりずっと真実がわかる。


二つ目は、最下層まで行って、一番末端の人と話すこと。


多くの管理者は現場に行っても、中間管理職や主管としか話さない。それじゃあ、いくら話しても上からの言い分を聞いているのと同じだ。


話すなら現場の社員と、一番普通の立場の人と、普段あなたと話す機会のない人と話すべきだ。彼らの言葉は一番直接的で、一番真実で、一番飾り気がない。「今一番困っていることは何?」と一言聞いてみれば、その答えはどんな報告書よりも役に立つはずだ。


三つ目は、見た後に問題を解決すること。


「至臨」は見るために見るんじゃなく、問題を解決するために見るんだ。現場に行って問題を見つけたら、帰ってから解決を推進しなきゃいけない。見ても見なかったように、何も変わらないままなら、何のために行ったのか?ただの時間の無駄だ。


現場に行くたびに、少なくとも一つは本当の問題を解決する。それを続ければ問題は減り、チームはスムーズに回るようになり、管理者としての価値も生まれる。


「至臨」はただの方法じゃなく、態度の問題だ


そもそも、なぜ多くの管理者は現場に行きたがらないのだろう?


はっきり言えば、理由は三つある。一つは怠け——オフィスに座ってエアコンを効かせてお茶を飲んでいる方が楽だから、わざわざ現場に行って苦労する必要なんてない、と思っている。一つは怖れ——現場に行って問題を見つけたら、対応するべきかしないべきか迷う。対応すれば手間がかかるし、しなければ無能だと思われる。もう一つはプライド——自分はもう上司なんだから、末端の仕事なんてするものじゃない、みっともない、と思っている。


だけど、本当にできる人で、上に浮かんでいる人なんて一人もいない。


任正非は毎日海外の基地局に足を運び、エンジニアと一緒に弁当を食べる。董明珠は自ら店頭に立ってエアコンを売り、顧客の本音を知る。稲盛和夫は「答えはいつも現場にある」と言う。こうした人たちは暇だからやっているんじゃない。「現場に近いほど真実に近づき、最前線に近いほど成功に近づく」と知っているからだ。


ウェン老師はこう言う。地沢臨の六四の爻は、簡単に見えるけれど、実は管理の入門講座なんだ。入り口すら入れないなら、何を管理しているんだ?オフィスに座って空気でも管理しているつもりか?と。


覚えておこう——管理者の立ち位置は、高ければ高いほどいいわけじゃない、正確であるほどいいんだ。立つべき場所に立ち、見るべきものを見て、解決すべき問題を解決する。それが「至臨」であり、「咎なし」なんだ。


あなたが下に降りる意欲があるほど、チームは上に伸びていく。この損得勘定は、どう計算しても割に合う。


最後に一言


「至臨,无咎。位当也(至りて臨む、咎なし。位、当たりなり)」


この六文字が、管理の基本を説き尽くしている。高尚な戦略だの先進的な管理手法だのを考える前に、一番基礎的なことをちゃんとやろう——自ら見て、自ら聞いて、自ら本当の問題に向き合うことだ。


管理というものは、複雑だと言えば複雑だけど、単純だと言えば単純だ。立ち位置さえ正しければ、全部うまくいく。

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