地天泰の初九:チームが勢いに乗る理由とバラける理由

泰卦の初爻には「抜茅茹 以其汇 征吉」とあり、茅が根ごと引き抜かれるのは同類が集まっているからで、志を同じくする者が集まって進めば吉とされる。本稿ではチームビルディングとパートナー選びの視点から、初九の叡智を読み解く。

📅 2026年9月18日✍ 闻老师👁 100

起業する人なら誰もが共通して抱える悩みがある——


チームの人数は多いのに、実際に働くのはいつも同じ数人。みんな忙しそうにしているのに、成果は上がらない。一人ひとりを見れば優秀なのに、集まるとうまくいかない。


能力が足りないから?そうでもなさそうだ。給料が安いから?業界の中でも低くはない。じゃあいったい何が問題なんだ?


問題は「人選が間違っている」ことにあるのかもしれない。能力の問題ではなく、「波長が合っていない」だけだ。


『易経』の泰卦の初爻は、まさにこの道理を説いている。その言葉は:「抜茅茹、以其汇、征吉。(ばつぼうにょ、いそのつどいをもって、ゆくにきちなり)」


抜茅茹——人を選ぶことが、何よりも大事


「抜茅茹」とはどういう意味だろう?茅とは茅萱(チガヤ)のこと。茹とは、根がつながっている様子を指す。


茅萱を抜いたことがあるだろうか?一本抜くと、次から次へとつられて抜けてくる。根がつながっていて、同じ種類、同じグループだからだ。だから「抜茅茹」——茅萱を抜くと根がつながっていて、引っ張れば一面が抜ける、というわけだ。


「以其汇」とはどういう意味だろう?汇とは、同類、集まりのこと。同類だから集まり、集まっているから、栄えるときも共に栄え、損なうときも共に損なう。


チームに置き換えれば、すごくわかりやすい。チームが事を成せるかどうかのカギは何か?「人」だ。あなたが選んだ人が「同類」かどうかだ。


同類とは何か?性格や趣味が同じということではない。目指す方向が同じで、価値観が同じで、物事の根本的な考え方が同じということだ。そういう人たちが集まれば、茅萱の根のように、それぞれ独立していても底でつながっていて、引っ張れば一緒に動き出す。


私はこれまで、人数も多く経歴も立派なのに、事がうまくいかないチームをたくさん見てきた。なぜか?心がバラバラだからだ。短期的に稼ぎたい人もいれば、長期的にやりたい人もいる。プロダクト重視の人もいれば、マーケティング重視の人もいる。着実にいくべきだと思う人もいれば、一気に攻めるべきだと思う人もいる。表面的には同じ会社に勤めていても、実際にはそれぞれの思惑があって、力が一つに向かっていない。


そういうチームは、人数が多ければ多いほど混乱する。草を抜くように、一本抜いても一本だけで、根がつながっていないから次の一本は抜けない。みんなで一緒に前に進もうなんて、難しい話だ。


ウェン老師はよくこう言う。「パートナーを探すのは、恋人を探すより難しい。恋人は二人がうまくやっていけるかどうかだけど、パートナーは一緒に苦労を乗り越えられるか、一緒に稼げるか、一緒に失敗に向き合えるかどうかだ。価値観が合わなければ、遅かれ早かれ別れることになる」


だから「征吉」——前に進めば吉祥である、には前提がある。あなたが選んだ人がみんな「茅茹」で、同類で、同じ道を行く人だという前提だ。人が正しければ前に進むのは吉だが、人が間違っていれば前に進むのは落とし穴になる。


「同類」かどうかを見極めるには


言うのは簡単だが、やるのは難しい。ある人が自分と同類かどうか、どうやって見極めればいいのだろう?


価値観を見るという人もいるが、それは漠然としすぎている。能力を見ればいい、能力が高ければ十分だという人もいる。だがいざ事が起きると、能力は高くても波長が合わない人のほうが、能力は低くても波長が合う人より、はるかに破壊力が大きいことに気づくはずだ。


ここに、参考になる3つの簡単な判断基準がある。


第一に、お金に対する態度を見る。 お金の話を俗っぽいと思わないでほしい。お金ほど人を試すものはない。目先の利益を重視するタイプか、長期的なリターンを重視するタイプか。利益を分け合う気があるか、それとも自分だけで独り占めしたいか。困難に直面したとき、一緒に乗り越えようとするか、それとも先に自分だけ逃げ出そうとするか。お金の考え方が一致している人は、他の面でも大きく外れることは少ない。お金の考え方が一致していない人は、他の面がどんなに合っていても無駄だ。


第二に、問題が起きたときの第一反応を見る。 普段はみんな仲良く、「あなたも良い、私も良い、みんな良い」というものだ。だが問題が起きたらどうだろう?トラブルがあったとき、先に解決策を考えるか、それとも先に責任をなすりつけようとするか。プレッシャーがかかったとき、先に自分が背負おうとするか、それとも先に後ろに下がろうとするか。危機的な場面での第一反応こそ、その人の本質を最もよく表す。普段どんなに上手に取り繕っていても、事が起きればすぐに正体が現れる。


第三に、暇なときに何をしているかを見る。 忙しいときはみんな同じで、仕事をしている。だが暇なときはどうだろう?暇になると勉強したり、物事を考えたりする人もいれば、横になってスマホを見るだけの人もいる。横になるのが悪いというわけではない。ただ、彼のペースがあなたとまったく違うなら、遅かれ早かれ二人は離れ離れになる。あなたは前に進みたいのに、彼はゆっくりやりたい——これはどちらが正しいか間違っているかの問題ではなく、ペースが合わないだけだ。ペースが合わない人とは、長く一緒にはいられない。


私には起業している友人がいる。最初のパートナーは大学時代の同級生で、二人の仲はすごく良かった。だが1年余りで別れてしまった。なぜか?私の友人は「命がけで働くタイプ」で、1日16時間働いても疲れを感じないような人だった。一方、同級生は「ワークライフバランス重視タイプ」で、定時に退社して週末は必ず休むような人だった。


どちらが悪いというわけではない。ただペースが違い、期待するものが違っただけだ。あなたが「今が攻めどきだ」と思うとき、彼は「もう少し休もう」と思う。あなたが「今日中に終わらせなければ」と思うとき、彼は「明日でもいいじゃないか」と思う。時間が経てば、当然矛盾が生まれてくる。仲が悪くなったわけではなく、ただ同じ周波数ではなくなってしまったのだ。


これが「以其汇」の重要性だ——同じ種類の人で、同じ周波数で、力を一つに向けられること。 そうでなければ、一本抜いても一本だけで、一面を引っ張ることはできず、長くは続かない。


征吉——同類が集まってこそ、事を成せる


「征吉」の二文字は、簡単に見えて実は重みがある。


征とは、前に進み、事を行い、新しい領域を切り開くこと。吉とは、吉祥で、順調で、うまくいくことだ。


なぜ「抜茅茹」であれば「征吉」なのか?同類の人が集まれば、3つのメリットがあるからだ。


第一に、コミュニケーションコストが低い。 同類なら、多くを語らなくても、言葉の端で伝わる。あなたが前半を言えば、彼は後半を理解する。あなたの視線一つで、彼は何を言いたいかわかる。浮いたコミュニケーションコストは、全部仕事に回せる。波長の合わない人と仕事をしたらどうだろう?一言三回言っても伝わらないし、一つの事を何度も往復して話し合って、疲れ果ててしまう。効率なんて話にならない。


第二に、信頼感が強い。 同類の人なら、彼の底线がどこにあり、彼の原則が何かわかるから、警戒する必要がない。利益の衝突が起きても、彼が自分を裏切らないと信じられる。困難に直面しても、彼が逃げ出さないと信じられる。この信頼感こそ、チームの戦闘力の基礎だ。信頼のないチームは、事が起きればすぐにバラバラになる。信頼のあるチームは、大きな事ほど乗り越えられる。


第三に、リスク耐性が強い。 起業の道には何が起こるかわからない——市場が変わる、ライバルが現れる、資金繰りが途切れる、中心メンバーが辞める。同類の人が集まっていれば、事が起きてもバラバラにならず、みんなで知恵を出し合って一緒に乗り越える。同類でない人たちはどうだろう?「大難が来ればそれぞれ飛び、木が倒れれば猿は散る」という通りだ。


私が以前いた起業チームは、創業者5人が全員大学の同窓生で、価値観が高度に一致していた。会社が最も苦しかったとき、連続3ヶ月給料が出せなかったのに、一人も辞める人はいなかった。みんなでお金を出し合って会社を支え、後に徐々に良くなっていった。今思い返すと、彼らがすごかったのは能力が高かったことではなく、最初から人選を間違えなかったことだ——みんな「茅茹」で、根がつながっていたのだ。


これが泰卦の初九が私たちに教えてくれることだ:事を始める前に、まず人を探せ。人を探すなら同類の人を探せ。人が正しければ、事は半分成功したようなもの。人が間違っていれば、どんなに頑張っても無駄だ。


最後に


泰卦初九の「抜茅茹、以其汇、征吉」は、現代に置き換えればこういう意味だ:チームが事を成せるかどうかのカギは人にあり、人が一緒に事を成せるかどうかのカギは同類かどうかにある。同類の人が集まれば、茅萱の根がつながっているように、引っ張れば一面が動き、前に進めばきっと順調だ。


泰卦とはどういう卦か?通泰、つまり順調で、上下が通じ合っている状態のことだ。だが泰は何もなしに訪れるわけではない。泰になりたいと思えばなれるものでもない。泰の起点は何か?初九であり、「抜茅茹」であり、正しい人を探すことから始まるのだ。


人選が正しければ、その先の泰が実現しうる。人選が間違っていれば、どんなにもがいても泰にはなれない。


だから、もしあなたが今チームを組んでいる最中だったり、パートナーを探していたり、人を採用していたりするなら、急いで前に進まないで、一度立ち止まって考えてみてほしい——あなたが探している人は、あなたと「同類」だろうか?目指す方向は一致しているだろうか?価値観は合っているだろうか?ペースは合うだろうか?


履歴書がどんなに立派で、能力がどんなに高いかばかりを見ないでほしい。能力は育てられるし、経験は積める。だが、その人の根本的な考え方、価値観、仕事のペース——こういうものは、なかなか変えられない。


正しい人を探してから、事を始める。これが泰卦が私たちに与えてくれる最初の启示であり、最も重要な启示でもある。

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