木の縁(もくのえにし)
昔、江南の水郷に若い大工がいた。その若者は眉目秀麗で体もがっしりしており、大工の腕前は神業と呼べるほどだった。家具を作ればほぞ穴の寸分の狂いもなく、彫刻の花は生きているかのように生き生きとしていた。ただし、とにかく短気で、お尻にバネでもついているかのように、何事も一気に成し遂げようとして、少しの辛抱もできなかった。近所の人たちは、彼のあわただしい様子を見て、陰で「せっかち猿」と呼んでいた。彼は少しも気にせず、自分の腕前さえあれば世の中にできないことはないと思い込んでいた。歩く姿にも傲気が漂い、明日にでも大店の番頭にでもなれるかのような様子だった。
町に呉服屋を営む主人に娘がいた。彼女はむきたてのヒシの実のように瑞々しく、笑うとえくぼが二つできる美しさだった。大工は一目で彼女に惚れ込み、毎日のように呉服屋の前をうろうろした。手には彫り上げたばかりの木の簪を握りしめていたが、渡す勇気が出ず、もどかしさに体をよじっていた。呉服屋の主人は彼が貧しいのを嫌い、まともな店も持たずに日雇い仕事では先が見えないと思っていた。娘の方は、毎日店の前をうろついてじろじろ見る彼を見て、なんだか落ち着きのない人だと気になっていた。
大工はじっとしていられなくなり、粗悪な酒を二本提げて直接結婚を申し込みに行った。呉服屋の主人は長椅子に腰を下ろし、茶碗を手に目も上げずに言った。「まともな店も持たぬ者が、何を頼りにわしの娘を娶るつもりか?」大工は焦って胸を叩きながら言った。「俺は腕がいい。一日に家具を三つも作れるから、絶対に養ってみせる!」主人は冷ややかに笑って言った。「一生日雇い仕事で、金持ちになれるものか?」屏風の後ろから娘が小さくつぶやいた。「あなたはせっかちだし、気性も激しいから、一緒に暮らしたら怖いわ」大工は腹を立てて、ドアをバタンと閉めて出て行った。
あちこち金を借り集めてボロ店を譲り受けたが、長雨で作りたての家具がすべて水に浸かって膨らんでしまった。同業者に笑われ、呉服屋の主人には酒をそのまま返された。彼は腹立たしさに店の中で木を叩きつけ、斧を振り回した末、泥水の中にどっかりと座り込み、悔しさに胸を痛めた。
彼の師匠で、目の不自由な老大工が、杖をついて店にやってきた。しゃがんで水に浸かった木に触れながら、ゆっくりと言った。「おいしんぼ、窯から出たばかりのレンガですぐに高いビルは建てられん。鱗が生えそろっていない竜は、まず水底で身を潜めておくものだ。お前は相手の好みも気性も知らないのに、何を急いで見せびらかしているんだ。心を落ち着ければ、水は自然に溝を伝って流れるものよ。」
大工は結婚を急がなくなった。呉服屋の戸や窓が壊れれば黙って修理し、棚が傾いていればこっそり補強した。手柄を自慢することもなく、想いを告げることもなく、仕事が終われば木くずを払ってさっさと帰った。主人は彼の誠実さに心を動かし、娘は彼の細やかさに気づいた。仕事が終わった時、娘が顔を赤らめて冷やした梅スープを一碗渡してくれることもあり、二人は顔を見合わせて笑うだけで、言葉にならない思いが通じ合っていた。
後に、呉服屋の主人が自ら仲人を立てて結婚を申し込み、晴れやかに娘を彼に嫁がせた。講釈師はこう嘆いた。「恋愛というものは、急いではならん。『潜龍勿用(せんりょつもちいず)』とは、何もしないでいろというのではない。人目につかないところで力を蓄え、根を深く張るための時なのだ。風が来れば、自然に水は溝を伝って流れるものよ。」